低コストのインデックスファンドシリーズとして評価の高いeMAXIS Slimシリーズ。
そのeMAXIS Slimシリーズには、日本を含む全世界株式に投資してくれるファンドが2種類あります。
それが、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と、「eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)」の2つです。
当サイトでも全世界株式型のインデックスファンドへの投資をおすすめしておりますが、この2つの投資信託はどちらが良いのでしょうか。
比較していきますね。
eMAXIS Slim全世界株式はオール・カントリーと3地域均等型のどっちが良い?比較してみた。
どちらも良い投資信託だと思うのですが、私はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の方をおすすめしたいと思います。
その理由について解説していきますね。
eMAXIS Slim全世界株式オール・カントリーと3地域均等型の違い
eMAXIS Slim全世界株式オール・カントリーと3地域均等型は、非常によく似た投資信託です。
例えば、全世界の株式に投資してくれる点は共通しています。
また、インデックスファンドを選ぶ際に重要視される信託報酬も同じです。
唯一の違いは、投資する国の割合が違うことです。
下の図をご覧ください。

eMAXIS Slim全世界株式オール・カントリーは、世界の時価総額をもとに各国への投資割合を決定しています。
上図のオール・カントリーの投資割合は2019年6月時点での投資割合で、世界株式の時価総額に変化があれば、自動的にそれに追随していきます。
一方、eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)は、その名の通り、日本・先進国・新興国の3地域に3分の1ずつ、等しく投資します。
これは、世界株式の時価総額が変わっても関係ありません。
このように、オール・カントリーと3地域均等型は、2つとも全世界の株式に投資をするインデックスファンドですが、どの国にどれくらい投資するかという点の考え方が異なるのです、
オール・カントリーと3地域均等型のメリット・デメリット
それでは、このような違いのある2つのファンドのメリット・デメリットは何なのでしょうか?
順に見ていきましょう。
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)のメリット
3地域均等型のメリットは、次の2つです。
- 為替リスクが少ない
- 成長著しい新興国の割合を増やすことで、収益率が向上する可能性がある
オール・カントリーは、日本株への投資が約7%で、外国株への投資が93%もあります。
一方、3地域均等型は、日本株への投資が約33%で、外国株への投資が66%です。
このように、3地域均等型は、日本株への投資が多いことによって、オール・カントリーよりも為替リスクが少なくなっています。
私たちは結局、最終的には円でお金を使います。
そのため、為替リスクがある程度抑えられている3地域均等型の方が安心という考え方もできるでしょう。
また、3地域均等型は、オール・カントリーと比べて新興国の割合が多いことも特徴の一つです。
今後の経済成長が期待される新興国の割合が多いことで、時価総額に基づくオール・カントリーのパフォーマンスを上回る可能性があります。
事実、2002年~2017年のインデックスによるパフォーマンスを見てみると、3地域均等型インデックスが加重平均の全世界株式を上回っているそうです。

eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)のデメリット
それでは、3地域均等型のデメリットはなんでしょうか。
私は、世界経済の成長通りに資産が増加しない可能性があることが、デメリットだと考えています。
3地域均等型は、その名の通り、日本・先進国・新興国に3分の1ずつ投資をするインデックスファンドです。
例えば、バブル崩壊を思い起こしてみてください。
日本は、バブル崩壊以降、株価がどんどん下落し、低迷を続けました。
一方、世界経済全体としては、日本がバブル崩壊による株価の低迷に苦しんでいる間も順調に成長していました。
このような時期に3地域均等型がどうするかと言うと、成長している海外株を売却して、低迷している日本株を買うのです。
そうすると、せっかく世界中の株式に分散投資しているのに、世界経済の成長通りに資産が増加しない可能性がありますよね。
これが、3地域均等型のデメリットだと考えています。
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー)のメリット
それでは、オール・カントリーのメリットは何でしょうか。
私が考えるオール・カントリーのメリットは、世界ポートフォリオによって、世界経済の成長を正確に捉えることが出来ることです。
オール・カントリーの投資国の配分は、時価総額によります。
つまり、オール・カントリーという投資信託は、全世界の株式市場の形をそのまま捉えた形だということができます。
このようなインデックスファンドであれば、各国の躍進や衰退といった状況にも自動的に追随することになり、世界経済全体の成長がそのまま資産の増加につながります。
つまり、「アメリカは大丈夫だと思ったのに!」とか、「新興国は伸びると思ったのに!」といった予想が外れて、失敗する危険がないわけです。
この無難さがオール・カントリーのメリットだと考えています。
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー)のデメリット
オール・カントリーのデメリットは、メリットの裏返しで、世界経済全体の成長分以上の超過収益を得られないということです。
オール・カントリーは、時価総額の割合に従って投資国の割合を決定します。
例えば、今後新興国が伸びるとすれば、新興国が伸びるにしたがって、徐々に新興国の割合が増えていくのです。
もっと収益が欲しいと思えば、どうすれば良いでしょうか?
それは、新興国が伸びる前に、新興国への投資割合を増やしておくしかないでしょう。
しかし、オール・カントリーはそういうことをしないので、世界経済の成長に対する超過収益を得ることはできません。
ただ、予測が外れて損をするということもないのです。
インデックス投資は、負けないための投資です。
そうであれば、3地域均等型でリスクを冒してまで超過収益を狙いに行くよりも、世界経済の成長をそのまま追随できるオール・カントリーの方が、安心感があるのではないでしょうか。
オール・カントリーと3地域均等型のパフォーマンス比較
最後に、eMAXIS Slim全世界株式オール・カントリーと3地域均等型の最近のパフォーマンスは、実際のところどっちが良いのかという点について見ていきたいと思います。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の設定来の成績を、3地域均等型と比較してみました。
非常によく似た値動きをしていますが、現在のところオール・カントリーの方が3地域均等型の成績を上回っています。
三菱UFJ国際投信が、2002年~2017年のパフォーマンスを見ると3地域均等型が時価総額加重平均の指数を上回っているというレポートを出していましたが、やはりそれも時期によるということでしょう。
まとめ
以上、eMAXIS Slim全世界株式オール・カントリーと3地域均等型の違いについて解説し、どちらに投資するのが良いのか検証してきました。
オール・カントリーと3地域均等型の違いは、投資する国の割合にあります。
オール・カントリーは時価総額比率で、3地域均等型は、日本・先進国・新興国で3分の1ずつです。
その結果、オール・カントリーは、現在の世界株式市場、いわゆる世界ポートフォリオを比較的正確に表した形になっているのに対して、3地域均等型は日本と新興国に大きく張った形となっています。
オール・カントリーはまさしくスタンダードなインデックスファンドの形で、3地域均等型は特定の国の割合を意図的に大きくした、ちょっとアクティブなインデックスファンドと言うことができるでしょう。
過去のパフォーマンスも、3地域均等型の方が良いとするレポートもありますが、私が調べた直近のデータではオール・カントリーが勝っていました。
これも、時期によっていろいろなようです。
結局のところ、世界ポートフォリオを良しとするか、日本と新興国の割合を増やすことに希望を見出すか、購入する人の価値観が問われていると言えそうです。
私としては、特定の国の割合を増やすというアクティブな行為を行うと、それだけ超過リターンを生む可能性もありますが、同時に失敗するリスクもあるため、冒険をせずに世界ポートフォリオでいいのではないかと考えています。
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