投資について少し勉強すると、
「日本だけに投資するのではなく、広く国際分散投資すべきだ!」
「最近は投資信託1つで世界中に簡単に投資ができる!」
みたいなことが書かれていますよね。
ブロガーがおすすめの投資信託に投票するイベント「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」なんかを見てみると、やはり世界に投資をするインデックスファンドが人気になっています。
さて、このイベントの上位ファンドを見てみると、次のことに気づきます。
- 1位「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」三菱UFJ国際投信
- 3位「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」三菱UFJ国際投信
同じ投資信託のシリーズで、先進国に投資するものと、全世界に投資するものとで人気を二分しているんですね。
初心者の方は、先進国と全世界のどっちが良いんだろう?と疑問に思ったのではないでしょうか。
実はこれ、すご~く奥の深い問題なのです。
そこで、本日は先進国株式と全世界株式のどちらのインデックスファンド投資したらよいのか、詳しく解説しますね。
先進国株式と全世界株式。どっちのインデックスファンドに投資すべき?
先進国株式と全世界株式のどちらのインデックスファンドに投資すべきかという問題については、私は次のように考えます。
- 全世界への正確な投資を追求するなら全世界株式への投資がおすすめ
- コストの安さを追求するなら先進国株式がおすすめ
ただし、私自身は、全世界株式への投資を推奨したいと思います。
どういうことなのか、詳しく解説していきますね。
先進国株式も全世界株式も中身はほとんど同じ!?
実は、先進国株式のインデックスファンドを買っても、全世界株式のインデックスファンドを買っても、中身はほとんど同じなんです。
下のグラフをご覧ください。

先進国株式のインデックスファンドは、その名の通り、先進国の株式に100%投資をしています。
ちなみに、インデックスファンドにおける先進国とは、伝統的に日本以外の先進国のことを指します。
続いて、全世界株式のインデックスファンドですが、こちらもその中身は81.5%が先進国です。
それに日本が7.2%、新興国が11.3%加わっています。
つまり、どちらのインデックスファンドを選んだとしても、その中身はほとんどが日本以外の先進国株式だということですね。
全世界株式は、味付け程度に、日本と新興国が加わっているということです。
どうしてこのようなことが起きるのかというと、全世界株式のインデックスファンドは、投資する国の割合を、時価総額の大きさによって決定しているからです。
世界の株式の時価総額は、そのほとんどを先進国が占めていますので、こういう結果になるわけですね。
コストは先進国株式のインデックスファンドが圧勝
さて、インデックスファンドの中身は、先進国株式を選んでも、全世界株式を選んでも、実は結構似ているんですよということがわかりましたので、次はコストを比較してみましょう。
コストについては、先進国株式の方が圧勝しています。
2019年6月現在の信託報酬(税込)は下記のとおりです。
- 「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」0.107892%
- 「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」0.15336%
どちらも他の投資信託と比べると十分に安いのですが、両者を比較すると、全世界株式のインデックスファンドの方が、先進国株式のインデックスファンドよりも1.5倍のコストがかかることがわかると思います。
原因は色々と考えられると思いますが、大きな理由は競争環境です。
先進国株式のインデックスファンドは多くの会社が販売しており、競争が非常に激しいので、コストがどんどん下がっていきます。
一方、全世界株式のインデックスファンドを販売している会社はあまり多くないので、先進国株式のインデックスファンドほど競争が激しくなく、コストが下がりにくいと考えられます。
先進国株式インデックスファンドのメリットは、お得感があること
それでは、先進国株式と全世界株式のどちらのインデックスファンドが良いのでしょうか。
先進国株式インデックスファンドのメリットは、お得感があることです。
先進国株式と全世界株式のどちらのインデックスファンドを選んでも、その80%以上は中身が一緒。
それならば、1.5倍もコストが高い全世界株式ではなく、コストが安い先進国株式のインデックスファンドを選んだ方がお得じゃないか!という考え方も、一理あると思います。
よって、コストを追求する方には、先進国株式のインデックスファンドがおすすめです。
全世界株式のメリットは、ほったらかしが可能なこと
確かに、現在は先進国株式のインデックスファンドも、全世界株式のインデックスファンドも、その80%以上は中身が同じです。
それは、現在の世界の株式時価総額のほとんどを先進国が占めているからなのですが、果たして、5年後、10年後も、変わらず先進国が世界の80%以上を占め続けることが出来るでしょうか。
もしかしたら、新興国の台頭によって、徐々に先進国の割合が下がってくるかもしれません。
全世界株式のインデックスファンドを買っておけば、もしそのような状況になったとしても、自動的に新興国への投資割合を増やしていってくれます。
一方、先進国株式のインデックスファンドにしか投資をしていない人は、世界の株式時価総額に占める先進国・日本・新興国の割合に常に気を配っていないと、全世界株式に投資をしている人に対して、思わぬ遅れを取ってしまう可能性があります。
「これはちょっと大変だな。ほったらかしで投資をしたいな。」と思う人には、全世界株式のインデックスファンドへの投資がおすすめです。
試しに先進国株式と全世界株式のパフォーマンスを比較してみる
最後に、先進国株式と全世界株式のインデックスファンドの実際のパフォーマンスを比較してみましょう。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が設定されたのが2018年秋のことですので、あまり長期の比較はできませんが、現在のところ、理論通り、どちらを選んでも大差はないという結果になっています。
まとめ
以上、先進国株式と全世界株式のどちらのインデックスファンドに投資をすれば良いのか、ということについて解説してきました。
現時点では、世界の株式時価総額の80%以上を先進国が占めているため、先進国株式を買っても、全世界株式を買っても、それほど中身に大差はありません。
また、コスト的には先進国株式のインデックスファンドの方が有利ですので、先進国株式で良いやという判断もあり得ると思います。
ただ、それでも私は、全世界株式のインデックスファンドを購入しています。
世界の株式時価総額の大半を先進国が占めているというのは現在のお話。
5年後、10年後、20年後はどうなっているかはわかりません。
もし、新興国が台頭し、世界の株式時価総額に占める割合が増加したとしたら、その過程で先進国株のパフォーマンスは低下し、新興国株のパフォーマンスは上昇するでしょう。
全世界株式に投資しておけば、そんな世界の動きにも自動的についていってくれますが、先進国株式だけに投資をしていると、新興国株の上昇を取り逃がしてしまいます。
もちろん、先進国がさらに躍進し、新興国が没落していく可能性もあるわけですが、それは誰にもわかりません。
つまり、先進国株のインデックスファンドだけを買うことは、ほんの少しギャンブル的な要素、アクティブな要素が入るんですよね。
私はこれを面倒だと思いますし、投資初心者の人も、「全世界株式における各国の時価総額の構成割合の変化に注意しとけよ」と言われても、よくわからんと思うんです。
要は、日本と新興国の株式を加えて、ある程度正確な全世界株式ポートフォリオを作るコストとして、年率0.05%を支払う価値があると思えるかどうかということだと思います。
私は、それぐらいなら払っても良いと考えています。
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