個人投資家の中には、私たちの年金を運用するGPIFのアセットアロケーションを参考にしている人もいると思います。
また、GPIFのアセットアロケーションを再現することをコンセプトにしたiFree年金バランスのような投資信託も販売されています。
しかし、このGPIFのアセットアロケーションは、時代の流れとともに大きく変化してきたことをご存知でしょうか。
本日は、GPIFのアセットアロケーションがどのように変化してきたのか。
その結果、GPIFのパフォーマンスはどう変わったのかをご紹介したいと思います。
GPIFのアセットアロケーションの推移を調べてみた。リスクを取った結果、パフォーマンスが向上しています。
2001年に運用を開始したGPIFですが、そのアセットアロケーションはどんどんハイリスクになっています。
そして、リスクを取った結果、それに見合ったパフォーマンスの向上が見られています。
GPIFのアセットアロケーションの推移
まずは、2001年から2018年までのGPIFのアセットアロケーションの推移を見てみましょう。

GPIFが運用を開始した2001年には、資産のほぼ70%が日本国内債券で運用されてました。
外国株式は10%にも満たない水準です。
この頃の日本国債(10年)の金利は、1.5%前後ありました。
しかし、日本国債の金利は徐々に低下し、2012年に入って1%を切るようになると、その後は転がり落ちるように低下していきます。
この流れに対応するように、GPIFの「基本ポートフォリオ」は2014年10月に大きく見直され、国内債券の割合を減らし、国内株式・外国株式への投資割合を増やすことが決定されました。
その結果、2014年以降、アセットアロケーションにおける国内債券の割合は減少し続け、逆に国内株式・外国株式の割合は増加しています。
アセットアロケーションにおける株式割合と収益率の関係
このように、2001年の運用開始以降、国内債券の割合は徐々に減少し、国内株式・外国株式の割合が増加してきました。
アセットアロケーションが変化したことにより、パフォーマンス(収益率)どのような変化が起こったのか、分析してみましょう。

上の図は、アセットアロケーションにおける株式割合と収益率の関係を示したものです。
2014年10月の基本ポートフォリオの見直しによって、それまで40%未満だった株式(国内・海外)の割合が、40%を大きく超える水準へと引き上げられています。
そこで、40%未満の株式割合と収益率を青、40%以上の株式割合と収益率を赤で表示してみました。
株式の割合が40%未満だった2013年以前の平均収益率は2.68%、株式の割合が40%以上に引き上げられた2014年以降の平均収益率は4.55%となっており、株式の割合が引き上げられて以降、確実にパフォーマンスが向上しているのが見て取れます。
一般的に、株式の割合を増やすことで期待リターンが大きくなると言われますが、その効果は確かに出ているようです。
ただし、2001年~2013年の間にはリーマンショックがあり、その分平均収益率を引き下げる結果となっているので、もう少し長期的に見ていく必要はあることを申し添えておきます。
まとめ
以上、GPIFによる運用が始まって以降のアセットアロケーションの変化と、その変化が収益率に与えた影響について分析してみました。
GPIFは当初、その資産の大部分を日本国内債券で運用していましたが、国債の金利水準の低下に呼応するように国内債券の割合を下げ、株式による運用を重視したアセットアロケーションに変化していきました。
結果、アセットアロケーションにおける株式の割合が40%を超えて以降の年間平均収益率は、それまでの収益率を1.87%上回っています。
今後も、GPIFがどのようなアセットアロケーションで運用を行い、どのような結果を残すのか、注視していきたいと思います。
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