現在、インデックスファンドはたくさんの運用会社から発売されています。
インデックス投資は、これらのインデックスファンドを利用して投資を行いますが、「インデックスファンドならどれでもいいんでしょ?」と考えている人は要注意!
テキトーにインデックスファンドを選んでいると、そのインデックスファンド、なくなってしまうかもしれませんよ。
この記事では、これから先10年のインデックスファンド業界で何が起こるかを予想し、あなたが買うべきインデックスファンドを示したいと思います。
eMAXIS Slimシリーズがシェアを拡大する!
現在、たくさんの運用会社がインデックスファンドを販売しており、さながらインデックスファンド戦国時代といった様相ですが、これから先10年の間に、eMAXIS Slimシリーズがシェアを拡大し、インデックスファンドの市場も寡占化(少数の企業による市場の独占)が起こると予想しています。
そう考える理由について、順に説明していきましょう。
インデックスファンド乱立の戦国時代
過去10年に渡ってインデックスファンドの市場は伸び続けており、たくさんの運用会社がインデックスファンド事業に参戦してきました。
そのため、現在はさながらインデックスファンドの戦国時代という様相になっています。(以下参考:激闘!インデックス投信 ネットや銀行・生保系躍進)
インデックスファンド市場は10社がしのぎを削る
現在、インデックスファンド市場にはおよそ10社が参戦しています。
- 三菱UFJ国際投信
- 三井住友トラスト・アセットマネジメント
- ニッセイアセットマネジメント
- 野村アセットマネジメント
- アセットマネジメントOne
- 大和証券投資信託委託
- 楽天投信投資顧問
- ブラックロック・ジャパン
- SBIアセットマネジメント
- りそなアセットマネジメント
不振の投信は償還されてしまう
このように、たくさんの運用会社が参加し、たくさんのインデックスファンドが供給されているわけですが、すべてのインデックスファンドが運用を継続できているわけではありません。
販売不振によって資金が集まらないインデックスファンドは、償還、つまり運用が停止されてしまうのです。(お金は返ってきます。)
モーニングスター株式会社の調査によりますと、2016年1月から2018年5月の間に、実に284本ものインデックスファンドが繰り上げ償還されています。
これから先の10年、生き残るのはeMAXIS Slimシリーズ
そのような厳しい生存競争が行われている中で、私はこれから先の10年、生き残るインデックスファンドは、三菱UFJ国際投信の主力商品、eMAXIS Slimシリーズだと考えています。
その理由について順に解説していきましょう。
現在のシェア1位は三菱UFJ国際投信
10社もの運用会社による競争が行われているインデックスファンド市場ですが、現在シェア第1位となっているのが、eMAXIS Slimシリーズを展開する三菱UFJ国際投信です。
その市場占有率は約25%~30%程度。
これは、その市場における強者の最低条件と呼ばれる下限目標値の26%をすでに上回りつつあります。
インデックスファンド市場は、すでに三菱UFJ国際投信という「強者」が誕生しつつあるのです。
強者の三菱UFJ国際投信は「ミート戦略」を展開
「ランチェスター戦略」と呼ばれる経営戦略の理論があるのですが、そこでは、市場シェア1位の強者は、「ミート戦略」を取るべきとされています。
ミート戦略とは、市場シェア第2位以下のマネをすることです。
第2位以下が差別化を図ってきたら、そのアイデアをマネするのです。
そうすることで、消費者は商品の違いがわからなくなります。
違いがわからなければ、消費者は安心のシェア第1位の会社の商品を選ぶというわけです。
インデックスファンドは差別化するのが難しい金融商品です。
なぜなら、市場平均と連動する商品なので、どのインデックスファンドも同じような値動きとなってしまうからです。
そこで消費者が何を一番重視するかというと、信託報酬などのコスト。
そのため、様々な運用会社が既存のインデックスファンドよりもコストの安いファンドを発売するというコスト合戦が繰り広げられてきました。
そんな中、シェア第1位の強者である三菱UFJ国際投信が、eMAXIS Slimシリーズを投入してこう宣言します。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」と・・・。
つまり、ランチェスター戦略の観点で見ると、「他社がコストを下げて差別化してきた場合、それに追随してその会社の差別化を即座に潰しますよ。」ということです。
まさしくミート戦略そのものと言えるでしょう。
この戦略によって、eMAXIS Slimシリーズを展開する三菱UFJ国際投信は、さらにシェアを伸ばしていくのではないかと予想しています。
アメリカではすでに2社による寡占市場が実現
インデックスファンドの発祥国であるアメリカでは、かの有名なバンガードと、ブラックロックの2強による寡占市場となっており、この2強に対抗できる勢力は存在しません。
インデックスファンドはコストが安いため、アクティブファンドと比べても薄利多売とならなければ利益を確保できません。
そのため、日本においても、薄利少売となってしまった運用会社はファンドを償還・撤退することになり、徐々に寡占化が進んでいくのではないかと思います。
まとめ
過去10年において、三菱UFJ国際投信は、強者の最低条件とされるシェア下限目標値となる26%を獲得しました。
現在はその強者のポジションを足掛かりに、業界最低水準の運用コストをめざし続けるとして、他社の差別化を無効化してシェアを拡大する段階に入ったと考えています。
これにより、単純に同じ商品でコスト競争に巻き込まれてしまっている運用会社は、今後かなり苦しい立場になっていくことが予想されます。
そんな中、面白い方法で差別化をしているインデックスファンドがあることもご紹介しておきましょう。
楽天投信投資顧問は、アメリカのインデックスファンドの巨人、バンガード社とパートナーシップを結び、バンガードETFを購入するというユニークなコンセプトの投資信託シリーズを展開しています。
バンガードETFはブランド力も高く、購入したいと憧れている投資家も多い中、海外ETFということで手続きが面倒で購入のハードルが高いという欠点がありました。
そこで楽天投信投資顧問がバンガードとパートナーシップを結び、一般的な投資信託として売り出すことで、間接的にではありますが、日本の投資家が簡単にバンガードETFを保有できるようにしたのです。
この取り組みは一定の評価を受け、販売も順調なようです。
これはさすがにシェア1位の三菱UFJ国際投信も簡単には真似できない差別化だと思います。
私は、今後のインデックスファンド業界を勝ち残るのは、すでに述べたようにeMAXIS Slimシリーズを展開する三菱UFJ国際投信だと考えています。
そう考えた場合、やはり皆さんには、eMAXIS Slimシリーズを購入することをおすすめしたいです。
しかし、それと同時に、楽天投信投資顧問のようなユニークな取り組みで、インデックスファンド業界に活気を与えてくれる運用会社が現れることも願っています。
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