投資をするうえで1番気になるのは、やはり「大損してしまうのではないか」ということでしょう。
テレビなどでは、時々、投資によって大損・破産してしまった人がセンセーショナルに取り上げられます。
しかし、インデックスファンドと呼ばれる投資信託を使ったインデックス投資では、投資によって大損してしまったり、破産してしまったりするリスクをほぼ、コントロールすることができます。
インデックス投資のリスク管理を行う上で大切になるのが、「アセットアロケーション」と「リバランス」という考え方です。
この2つさえマスターしてしまえば、あなたは投資のリスクをコントロールすることができるようになります。
そこでこの記事では、インデックス投資歴10年の私が、
- アセットアロケーション・リバランスとは?
- 理想のアセットアロケーション・リバランスとは?
などの観点から、投資信託のリスクとの付き合い方について、徹底解説いたします。
インデックス投資のアセットアロケーション

インデックス投資のリスク管理で大切なのは、アセットアロケーションという考え方です。
アセットアロケーションの考え方を理解して、適切なアセットアロケーションで運用することさえできれば、どんな暴落が起きても、投資のリスクをほぼコントロールすることができるからです。
それでは、まずは「アセットアロケーションとは何なのか」ということから説明していきましょう。
アセットアロケーションとは?わかりやすく解説するよ
アセットアロケーションを一言で言ってしまうと、資産の配分のことです。
アセットが資産、アロケーションが配分を意味します。
例えば、日本人に1番多いアセットアロケーションは、こちらではないでしょうか。

全部の資産を現金で持っているというパターンですね。
一方、私が目指しているアセットアロケーションは、こんな感じです。

自分の資産のうち、30%を世界中の株式に配分することを目標にしています。
このように、アセットアロケーションとは、自分のお金を、どのような資産に配分していくかということなんです。
アセットアロケーションがリスク管理に重要な理由
インデックス投資のリスク管理するうえで、アセットアロケーションは最も重要になります。
なぜなら、アセットアロケーションの良し悪しで、順調に資産を伸ばしていくこともあれば、破産してしまうこともあるからなんです。
これから投資をしようと考えている人は、現金(日本円)100%だった自分のアセットアロケーションのうち、いくらかを株式などの資産に変えようとしているわけです。
その時、1%だけを株式にした場合、破産してしまうと思いますか?
もちろん破産しませんよね。
なぜなら、運悪く投資した企業が倒産し、株の価値が0円になってしまったとしても、残り99%の現金が残っているからです。
自分の資産が1%減っただけで、破産してしまう人はそうはいないでしょう。
しかし、この時の問題点は、株が値上がりしても、あまり儲からないということです。
例えば、500万円の資産がある人が、資産の1%の5万円だけを投資したとします。
その5万円を、10年かけてなんと2倍にしました。
それでも、利益はたったの5万円です。
これでは、ちょっと物足りないですよね。
それでは逆に、自分の資産の99%を株式にした場合はどうでしょう。
500万円の資産のうち、495万円を投資に回すことになります。
この投資資金を、10年で2倍にすることができれば、利益はなんと495万円になりました。
これはなかなかのインパクトがありますよね。
しかし、99%を投資に回してしまったので、手元に残るお金は5万円だけです。
もし、投資した企業が倒産でもしてしまったら、あなたの財産は5万円になります。
これではほとんど破産ですよね。
このように、投資した株が2倍になった時や倒産してしまった時に、あなたの資産がどのような影響を受けるかは、あなたが全資産のうち、何%を投資に振り向けるかというアセットアロケーションの影響を強く受けることがよくわかります。
インデックス投資のリバランス

次に、インデックス投資のリスク管理をするうえで大切なもう1つの考え方である「リバランス」について解説していきます。
リバランスとは?わかりやすく解説するよ
リバランスとは、その名の通り、資産配分のバランスを取りなおすことです。
例えば、私は次のように、現金70%・全世界株式30%というアセットアロケーションで運用しています。

しかし、生活を続けていると、給料を貯金したり、大きな買い物をすることがあります。
また、資産運用を続けていると、株価も上昇したり下落したりしますよね。
その結果、例えば次のように現金と株価のバランスが崩れてしまうことがあります。

こうして崩れてしまった資産配分を、もとの形に戻してあげることを、リバランスと言うのです。
上の例では、現金で全世界株式を買うことで、現金70%・全世界株式30%の割合に戻してあげるわけです。
リバランスがリスク管理に重要な理由
先ほど、アセットアロケーションが重要な理由として、 アセットアロケーションの良し悪しで、順調に資産を伸ばしていくこともあれば、破産してしまうこともあるからだとお話ししました。
そのため、適切な資産配分で資産運用を続けていくことが大切なわけです。
しかし、最初は適切な資産配分でインデックス投資を始めたとしても、貯金や出費、株価の変動で、資産配分は日々変動していきます。
それをほったらかしにしておくと、いつのまにかリスクを取り過ぎてしまっていたり、逆に投資金額が少なくなりすぎていたりする場合があります。
リスクを取り過ぎていれば、暴落が発生した時にインデックス投資を続けられなくなるかもしれません。
また、リスクを取らな過ぎていた場合も、期待したリターンを得ることができなくなってしまいます。
それを防ぐために、正しい資産配分の形に戻してあげるリバランスが重要になるのです。
リバランスは年1回
リバランスをすると言っても、毎日株価をチェックしてリバランスする必要はありません。
リバランスの目的は、大きく崩れてしまった資産配分をもとの形に戻してあげること。
日々の値動きではそれほど崩れることはありませんから、1年に1回ぐらいで十分です。
また、資産配分が大きく崩れていなければ、年に1回のリバランスもする必要はありません。
5%程度の資産配分の崩れであれば、誤差と考えてリバランスしなくても構いませんよ。
私は、正月に資産状況を把握する資料を作って、正月明けにリバランスを実行しています。
インデックス投資のおすすめアセットアロケーション

アセットアロケーションが投資のリスク管理において重要なことはわかりました。
それでは、理想のアセットアロケーションとは、どんなものなのでしょうか?
私も10年間のインデックス投資歴の中で、いろいろなアセットアロケーションを試してきました。
そして、最終的に現金70%・全世界株式30%のアセットアロケーションに落ち着いています。

それでは、私がどうして現金70%・全世界株式30%のアセットアロケーションを実践し、おすすめしているのかについて解説していきましょう。
現金と全世界株式の組み合わせがおすすめ
私は、シンプルに現金と全世界株式を組み合わせるアセットアロケーションをおすすめしています。
全世界株式が資産を成長させるアクセル(リスク資産)で、現金(預金)がリスクをコントロールするためのブレーキ役(無リスク資産)です。
それでは、どうしてこの組み合わせが良いか解説していきましょう。
リスク資産は株式がおすすめ
投資をするリスク資産にも、株式・不動産(REIT)・金・債券と色々な種類があります。
その中でも、私は株式がおすすめです。
なぜなら、株式は歴史的に金や債券よりもリターンが高いという事実があるからです。
資産 | 過去30年の平均リターン(年率) |
---|---|
世界株式 | +6.4% |
世界REIT(不動産) | +8.1% |
世界国債(債券) | +5.1% |
金 | +3.6% |
※出所:myINDEX
このように、株式は債券や金と比べ、高いリターンを残してきました。
また、上の表を見ると、世界REIT(不動産)の方が世界株式よりも過去30年の平均リターンが高いことに気が付くと思います。
「だったら株式よりも、REIT(不動産)投資の方が良いんじゃない?」と思うかもしれませんね。
インデックス投資家の間ではあまり話題になりませんが、私も株式ではなく、REIT(不動産)に集中投資するというのは、意外と夢のある方法だと考えています。
ですが、
- REITは100%不動産銘柄なので、不動産不況になったら全滅する
- REIT(不動産)市場は株式市場の数%くらいの規模しかない
という心配があるので、ここにすべてを賭けるのは正直ちょっと怖いです。
また、世界株式の中にはREIT(不動産)もちゃんと入っているので、リート(不動産)にすべてを賭けるギャンブルをする必要もないと考えています。
米国株に集中投資した方が良いの?
このように、私は投資をするリスク資産として、全世界株式をおすすめしています。
しかし、最近は、株式の中でもアメリカだけに投資をする米国株集中投資というものが大流行しています。
この情報を知っている人は、「全世界株式じゃなくて米国株投資をした方が良いんじゃないの?」と思っているかもしれませんね。
米国株投資をおすすめしている人からは、アメリカ以外の国に投資をすることは、米国株の高いリターンの足を引っ張ることになるという手厳しい意見もあります。
しかし、私は流行している米国株集中投資については反対です。
米国株投資をおすすめしている人からは、
- アメリカは資本主義が徹底しているため、株主への還元に力を入れている
- アメリカは世界経済の中心であり、今後もそれは変わることはない
などというもっともらしい理由が語られますが、結局のところ、最近のリターンが良かったからおすすめしているというのが本当のところでしょう。
その証拠に、昔はアメリカを中心とする先進国株よりも、中国などの新興国株の方がリターンが高い時期があり、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)投資として大変もてはやされました。
年 | 先進国株の成績 | 新興国株の成績 |
---|---|---|
2005年 | +22.6% | +52.4% |
2006年 | +23.7% | +33.7% |
2007年 | +6.6% | +34.0% |
※出所:お金は寝かせて増やしなさい
この当時からアメリカは世界経済のトップに君臨していましたし、株主のことだって大事にしていたはずです。
しかし、当時から投資をしていた人たちにお話を伺うと、新興国株式が絶好調のこの時期に、今のように「米国株集中投資が最高!」と言う人はいなかったそうです。
今後、一時的にでもアメリカの景気が後退し、他の地域のパフォーマンスが相対的に上がった場合は、米国株投資をおすすめしている人も一気にいなくなってしまうと予想しています。
アメリカが世界経済の中心であることは間違いありません。
全世界株式に投資をしたとしても、最大の投資国はアメリカになります。
しかし、米国株が将来に渡って永遠に最強であり続ける保証なんてものは一切ありません。
長期投資を目指すインデックス投資家なら、全世界への分散投資をしておくのが賢い投資方法だと私は信じています。
日本株には投資しない方が良いの?
もう1つ、良くいただく質問としては、「日本株には投資しない方が良いですか?」というものです。
日本に住んでいると実感しますが、日本は少子高齢化が激しく進んでおり、財政も苦しくなっています。
さらに非正規雇用が増えることで収入も伸び悩んでおり、若い人たちの生活も不安定です。
こんな状況の日本経済は、お先真っ暗なことはわかりきっているので、「日本株には投資しない方が良いんじゃないの?」という気持ちになるのは当然かもしれません。
しかし、私は日本株にも投資をしていますし、みなさんにも日本株に投資をすることをおすすめします。
なぜなら、日本経済が将来、本当に終わってしまうかどうかは、誰にもわからないからです。
日本に投資をしている世界中のエリート投資家たちも、 日本で少子高齢化が進んでいること、財政赤字が続いていること、雇用が不安定になっていることぐらいは当然知っています。
もし、日本経済がこれらの理由によって終わってしまうことが確実であれば、今すぐにすべての投資家が日本の株を手放し、日本の株は値段がつかなくなってしまうでしょう。
しかし、そうはなっていません。
相対的な地位は下がってしまったとはいえ、現在も世界3位のGDPを持ち、ドイツとフランスを合わせた規模(時価総額)よりもはるかに巨大な日本の株式市場を、それだけの理由で無視できないからです。
あなたが日本衰退の確信を持っているのであれば、日本を除くという選択肢も良いかもしれません。
しかし、あえて日本だけを投資対象から外すということは、「日本株式はどの国の株式よりもパフォーマンスが悪くなるという未来」に賭けたギャンブルをしているということだけは覚えておいてください。
ノーベル賞理論も全世界株式への投資を推奨
このように、アメリカなどの特定の地域に集中したり、日本だけを除いたりせずに、全世界に投資をすることは、ノーベル経済学賞を受賞したインデックス投資の理論上もおすすめされています。
インデックス投資の世界には、「効率的市場仮説」という考え方があります。
これは、「投資の世界はスーパーエリートや優秀なAIだらけになっているので、どの会社の株も、現在のその会社の利益や、今後の世界情勢の見通しを反映した、だいたい適正な価格になっている」という理論です。
ものすごく簡単に言うと、めちゃくちゃ儲かっている会社で、1年で配当が100円もらえるような株が、90円で買えちゃうみたいなおかしな状況は発生しないよという理論です。(そういう株はプロにすぐに見つかって、値段が上がってしまうから。詳しくは下記の記事を参照してください。)
[kanren id=”2030″]
このように、株式市場がだいたい効率的であるならば、次のような理屈が成り立ちます。
- すべての投資家が持っている株を合計すると、市場に存在するすべての株式の時価総額となる。
- すべての株式は、市場が効率的なので、おおよそ適正な価格になっている。
- となると、すべての投資家は、市場に存在する株式を、市場に存在する割合(時価総額比)で保有することが合理的である。
よって、株式投資をする場合は、全世界の株式に時価総額の割合で投資をすることが最善なのです。(「市場ポートフォリオ」と呼ばれます。)
これが、1990年にノーベル経済学賞を受賞した「ウィリアム・シャープ」のCAPM(キャップエム)の結論です。
現金と全世界株式の理想の割合とは?
インデックス投資をする時は、リスク資産として全世界株式に投資することが良いことはわかりました。
それでは、リスク資産である全世界株式と、無リスク資産である現金は、どのような割合で組み合わせるのが良いのでしょうか?
それは、あなたが取れるリスクの範囲の中で、できるだけ投資の割合を増やすことです。
資産における投資(主に株式)の割合を増やせば増やすほど、期待できる利益は増えます。
しかし、投資の割合を増やすと、暴落などが発生した時の損失も大きくなっていきます。
次の表は、資産が100万円の人が、株価が2倍になった時と半分になった時に、アセットアロケーション(現金と株式の配分)によって、資産がどのような影響を受けるかをまとめたものです。
現金 | 株式 | 株価2倍 | 株価半分 |
---|---|---|---|
0% | 100% | 200万円 | 50万円 |
10% | 90% | 190万円 | 55万円 |
20% | 80% | 180万円 | 60万円 |
30% | 70% | 170万円 | 65万円 |
40% | 60% | 160万円 | 70万円 |
50% | 50% | 150万円 | 75万円 |
60% | 40% | 140万円 | 80万円 |
70% | 30% | 130万円 | 85万円 |
80% | 20% | 120万円 | 90万円 |
90% | 10% | 110万円 | 95万円 |
100% | 0% | 100万円 | 100万円 |
現金を一切持たず、すべての資産を株式に突っ込んだ場合、株価が上がった時は最大の利益が出ていますね。
逆に株価が下がった時は、最大の損失が発生しています。
これだとさすがにギャンブルすぎるので、株式と現金を組み合わせていくのですが、現金の割合を増やすと安全性が上がる代わりに、期待できる利益がどんどん減ってしまうのがわかると思います。
そこで、インデックス投資の教科書的には、自分が取れるリスクの範囲(これをリスク許容度と言います)内で、できるだけ株式の割合を高くするのが、期待できる利益が大きくて良いですよとなるわけです。
しかし、そうは言っても、自分が取れるリスクの範囲がどれだけなのかなんてわからないですよね?
本によっては、暴落が発生した時でも安心してぐっすり眠れる投資金額が、あなたのリスク許容度だなんて書いてある場合もあります。
だけど、どれくらいの投資金額なら安心して眠れるのかは、実際に暴落を体験してみないとわからないことが多いです。
そこで私は、インデックス投資投資初心者に対しては、かなり安全寄りの現金70%・全世界株式30%のアセットアロケーションを一律におすすめしており、自分でも実践しています。
それでは、現金70%・全世界株式30%の投資割合の根拠をお話ししますね。
インデックス投資のリスク管理で大切なことは、暴落でも続けること
インデックス投資でもっとも大切なことは、長く続けることです。
なぜなら、株式市場は時に暴落も発生しますが、長期的には右肩上がりで成長を続けているからです。
そう考えた時に、私たちが投資割合を考えるうえでもっとも大切なのは、リスクの取り過ぎで、暴落が発生した時にインデックス投資を続けられなくなることを防ぐことです。
それでは、暴落が発生してもインデックス投資を続けることができるように、史上最大級の株式市場の大暴落であるリーマンショックをもとにシミュレーションしてみることにしましょう。
リーマンショックに学ぶ:株は暴落で最大60%下落する
リーマンショックとは、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが2008年に経営破綻したことをきっかけに始まった、世界的な金融危機です。
その当時もインデックスファンドは販売されており、現在も人気が高い、先進国株式に投資をするインデックスファンドは、わずか1年足らずでなんと60%も下落してしまいました。

株価が10%・20%下落するだけでTwitterなどではみんなが大騒ぎしていますが、歴史から学ぶのであれば、最大で60%程度の暴落も覚悟しておかなければなりません。
暴落が発生したら、リバランスが必要になる
さて、暴落が発生して株価が大きく下落した時には、何をしなければいけないんでしたっけ?
そう、先ほども説明した通り、リバランスを行います。
暴落が発生した場合は、株価が大きく下がって、資産の中の株式の割合が下がっているわけですから、株式を追加購入します。
ここで気が付いた人もいるかもしれませんが、株式の暴落発生時には、どこまで株価が下がるのかわからない恐怖の中で、手持ちの現金を減らして株を追加購入するという作業が発生するのです。
これはとんでもなく精神力を必要とする作業ですが、「暴落が発生したから、株式の割合を減らしておこう・・・」と急に弱気なアセットアロケーションに変更すると、長期的に見てリターンが下がってしまいます。
また、暴落時にリバランスをするということは、株価が安い時にたくさん買うという株式投資の鉄則を機械的に実践できるというメリットもあるので、避けては通れないことなのです。
つまり、株式に投資する割合を考える時には、暴落が発生した時に耐えられるかということだけではなく、暴落が発生した時にリバランスで追加購入ができるかということまで考えておかなくてはいけないのです。
暴落後のリバランスをした後に、当初資産の50%は現金を残したい
ここで、アセットアロケーション、つまり資産の配分における、現金と株式の役割をあらためて確認しておきましょう。
株式は、私たちの資産を増やしてくれる成長のアクセルですが、株価は常に変動し、不安定です。
一方、現金は持っていてもほとんど増えることはありませんが、価値が安定しており、私たちの生活を守ってくれます。
つまり、暴落が発生した時には、株式は株価がどうなってしまうのかわからない不安定な存在で、精神的にも、生活を支えるうえでも、頼れるのは現金だけということになってしまいます。

このような株式が当てにならない状況で、手持ちの現金が少なくなってしまうのはすっごく不安ですよね?
そこで私は、次のように考えました。
[box class=”box5″]例えば私が100万円の資産を持っていたとして、株価の暴落が発生して1回リバランスをしたとしても、最初の資産の50%である50万円は、現金として持っておきたい[/box]
暴落が発生して、リバランスを行ったとしても、当初の資産の半分が現金として手元に残ってくれたら、なんとか耐えられそうじゃないですか?
逆に、投資を始める前の資産の半分以下の現金しか手元に残らない状況になってしまったら、すっごく不安じゃないですか?
そこで私は、リーマンショック級の株価の大暴落が発生して、1回リバランスを行った時に、最初の資産の50%を現金として残せる資産配分を計算しました。
その結果が、次の通り、現金70%・全世界株式30%だったのです。
現金 | 株式 | 60%の暴落 | リバランス後 |
---|---|---|---|
50% | 50% | 現金50万円・株式20万円 | 現金35万円・株式35万円 |
60% | 40% | 現金60万円・株式16万円 | 現金45.6万円・株式30.4万円 |
70% | 30% | 現金70万円・株式12万円 | 現金57.4万円・株式24.6万円 |
80% | 20% | 現金80万円・株式8万円 | 現金70.4万円・17.6万円 |
※当初資産が100万円の場合
現金70%・全世界株式30%の投資割合であれば、リーマンショック級の大暴落が直撃し、リバランスをした後であっても、投資前の資産の半分ちょっとを現金として手元に残すことができます。
これが現金60%・全世界株式40%だと、手持ちの現金はリバランス後に半分を切ってしまっていますね。
ちなみに、現金70%・全世界株式30%だと、リバランスをした後の現金は57.4万円なので、「投資をする前の資産の半分を現金として残したい」と考えた場合、少し余裕があります。
しかし、リーマンショックを超える暴落は来ないという保証はどこにもないため、少しくらいの余裕を持っておく方が良いと考えています。
インデックス投資の有名アセットアロケーションは使えるか?

このように、私は現金70%・全世界株式30%のアセットアロケーションをおすすめしています。
しかし、インデックス投資の書籍やサイトでは、他にも様々なアセットアロケーションが提案されています。
その中でも特に有名なアセットアロケーションについて紹介し、それらのアセットアロケーションは本当に使えるのか、徹底検証していきたいと思います。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人 )のアセットアロケーションは使えるのか?
私たちの年金の運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人 )。
実は、このGPIFも、アセットアロケーションを設定し、投資信託で資産運用を行っています。
そして、そのアセットアロケーションは、専門家による運用委員会が決定しています。
専門家が集まって慎重に検討し、決定したアセットアロケーションなら、素人が考えたアセットアロケーションよりも良いものだろうから、私たち個人投資家もGPIFのアセットアロケーションを参考にするべきだという意見があります。
事実、GPIFのアセットアロケーションを真似する投資信託まで開発されています。
GPIFのアセットアロケーションはたしかに素晴らしいもので、結果も出しています。
しかし、私は個人投資家がこれを真似することはおすすめしません。
なぜなら、GPIFのアセットアロケーションは年金の運用に最適化されているのであって、個人の生活を考えて作成されたものではないからです。
どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
GPIFのアセットアロケーション
まず最初に、GPIFのアセットアロケーションがどういうものか見ておきましょう。

GPIFのアセットアロケーションは、2020年4月から、上のグラフのように、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式を25%ずつ、きれいに4等分にして運用されることが決まっています。
国内債券は価格が安定していて、為替の影響も受けない無リスク資産ですが、外国債券・国内株式・外国株式は為替の影響や値動きが大きいリスク資産となります。
そのため、GPIFのアセットアロケーションは25%が無リスク資産・75%がリスク資産となっており、少しリスクの高いアセットアロケーションだと思います。
それでは、このようなアセットアロケーションで運用するGPIFの収益はどうだったのでしょうか。
時代とともにGPIFのアセットアロケーションも変化しているので参考までですが、運用が開始された2001年から2018年までの累計収益額の推移を見てみましょう。

上のグラフのように、最終的な累計収益額は60兆円を越え、素晴らしい成績を出していることがわかります。
GPIFのアセットアロケーションが個人投資家の参考にならない理由
これほど素晴らしい成績を出しているのなら、私たち個人投資家もぜひとも真似するべきじゃないかと思うかもしれません。
しかし、私はGPIFのアセットアロケーションを個人が参考にすべきではないと考えています。
なぜなら、GPIFのアセットアロケーションは、年金運用に最適化されたアセットアロケーションだからです。
年金の特徴は、毎年、現役世代からの資金の流入があり、毎年、年金世代への資金の流出があって、それ以外の特別な流出入は少ないということです。(年金は私たち人間のようにマイホームを買ったりしませんよね?)
また、年金は人間のような寿命がないため、運用期間は超長期を想定されています。
このような状況では、常に高めのリスクを取ることができます。
なぜなら、急に大きな出費が必要になるイベントはないですし、人間のように、高齢になってから暴落が起きたら、運用期間が残り少ないため、挽回ができないなんてことがないからです。
一方、私たち個人投資家はどうでしょうか。
20代~30代で結婚や住宅購入という大きな出費のあるライフイベントを迎える人が多く、40代~50代では多額の教育費がかかる家庭が多いでしょう。
私たちは、生活費だけを払って老後まで過ごせるわけではありません。
また、個人投資家は自分の人生を豊かにするために投資をすることが多いでしょうから、その投資期間は100年以内。
運用開始後50年目で大損したとしても、150年目に挽回できていればそれで良いという気の長い投資家はいないのです。
このように考えると、リスク資産に75%、無リスク資産に25%を投資するというGPIFのアセットアロケーションは、確かに年金運用には優れているかもしれませんが、私たち個人投資家にとっては少々リスクが高いと考えています。
インデックス投資のリスク管理まとめ

投資をする時に初心者の方が1番気になるのが、「大損してしまうのではないか?」「破産してしまうのはないか?」ということだと思います。
確かに、借金をして株を買うなどの無謀なことをすれば、そういうこともあるかもしれません。
しかし、自分の資産全体の中で、どれくらいの割合を投資するかというアセットアロケーションの考え方さえ理解し、その割合を守るためのリバランスをしていけば、リスクは自分の想定内にコントロールすることができます。
私は、10年のインデックス投資の経験の中で、現金70%・全世界株式30%という投資割合にたどり着きました。
リスク資産としては、全世界の株式に投資をすることが期待できるリターンが高く、合理的だと考えています。
また、株式100%という資産配分にしてしまうと、暴落が発生した時にほとんどの人が耐えきれないので、株式と現金を組み合わせるごとが重要です。
現金をどの程度の割合にするかが問題ですが、リーマンショック級の大暴落が発生したと仮定して、それでも多くの人が株式を保有し続けるために、絶対に投資前の資産の半分以下の現金にしないという方針のもと、現金70%をおすすめしています。
多くの投資初心者に参考にしてもらえるアセットアロケーションだと考えていますので、良かったら真似してくださいね。
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