インデックス投資を推奨する理由として、多くのアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないとする学術界の研究成果を根拠とする場合があります。
しかし一方で、その研究の多くはアメリカで行われたもので、日本市場ではまだアクティブファンドは勝てるという意見を見ることもあります。
それでは、実際のところ、日本で人気のあるアクティブファンドであれば、TOPIXや日経平均株価を上回る成績を残しているのでしょうか。
そんな疑問を解決するために、長期投資をコンセプトにしたアクティブファンドのパイオニア、さわかみファンドさんとTOPIX・日経平均株価を比較してみることにしました。
さわかみファンドはTOPIX・日経平均株価を超えられるのか?比較してみた
さわかみファンドをTOPIX・日経平均株価と比較してみたところ、1勝1敗という結果になりました。
それでは、まずはさわかみファンドについて簡単にご紹介し、その対決結果を見ていきましょう。
さわかみファンドとは
さわかみファンドは、その名の通り、澤上篤人さんという人が立ち上げた投資信託です。
投資信託を運用する会社といえば、日本では銀行や証券会社などの金融機関のグループ会社であることが一般的です。
しかし、さわかみファンドを運用するさわかみ投信は、どの金融機関にも属さない、日本初の独立系投資信託会社として誕生し、パイオニアとして注目されました。
その評判は徐々に広まり、TVでも紹介されるようになって、2013年には3000億円の資金を集めた人気の投資信託です。
さわかみファンドvsTOPIX
それでは、さっそくさわかみファンドとTOPIXを比較してみることにいたしましょう。
TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドで、長い歴史のある「ニッセイTOPIXオープン」と比較したのが下のグラフです。

よく似た価格の動き方をしていますが、最終的にはさわかみファンドが圧勝しています。
さすがにTVで取り上げられるファンドなだけあって、TOPIXは大きく上回る成績を残しているようです。
しかし、日本株に投資をするファンドである以上、TOPIXの他に、もう1つ、比較しておきたいベンチマークがあります。
それが、皆さんご存知の日経平均株価です。
さわかみファンドvs日経平均株価
日本の株式市場を代表する株価指数として、TOPIXの他に日経平均株価というものがあります。
ニュースなどでは日経平均株価の方を強調されることが多いため、日経平均株価の方がなじみがあるという人もいるかもしれませんね。
TOPIXは東証一部に上場している企業の全株式を対象にした指数であるのに対して、日経平均株価は、東証一部に上場している企業のうち、225社だけを対象にした指数です。
実は、過去15年のパフォーマンスは、TOPIXよりも日経平均株価の方が優れていました。(だからと言って、日経平均株価の方がTOPIXよりも優れた指数だというわけではありません。)
TOPIXに勝ったさわかみファンドは、日経平均株価にも勝つことができているのでしょうか。
今回は、日経平均株価をベンチマークとする「ニッセイ日経225ファンド」と比較しました。

TOPIXと比べて、さわかみファンドは日経平均株価とのシンクロ率が非常に高いことがわかります。
2004年から2014年までの10年間は、ほとんど「さわかみファンド=日経平均株価」と言っても良いくらいの値動きです。
もしかしたら、さわかみファンドはある程度、日経平均株価の構成株式を参考にしていたのかもしれません。
しかし、2018年以降は、日経平均株価に置いて行かれるようになり、最終的に日経平均株価よりもパフォーマンスが下回っています。
このように、さわかみファンドはTOPIXには勝つことができたものの、日経平均株価には負けてしまい、日本を代表する2つの指数との対戦成績は1勝1敗ということになりました。
まとめ
長期投資のパイオニア、カリスマファンドマネージャーなどの称賛を受ける澤上篤人氏のさわかみファンド(※現在は息子の澤上龍氏が代表)ですが、インデックスファンドとの比較の結果は、TOPIXには勝利したものの、日経平均株価には及ばないというものでした。
パイオニア・カリスマと称されるほどのファンドマネージャーでさえ、指数に圧勝というわけにはいかず、インデックスファンドに勝つことの難しさを示す結果となりました。
このような状況下で、私たちが将来指数に勝ってくれる投資信託を事前に、確実に予想することは非常に困難です。
そう考えると、安全策として、超過リターンをあきらめてインデックスファンドに投資することを考えても良いのではないかと思います。
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